2:安重根記念碑ー夜

  • ⑨19時17分。写真タイトル・『私は影』。『日本のフィクサーME・パート2』等で使用予定。

 

 

 

  •  下山道中は寒かった。登りは体力をつかい、マラソンの如(ごと)く体はぬくもる。だが、下山は体がぬくもらない。逆に雨で体温を奪われた。しかも、方向音痴ときている。

     万一、道を間違えたならばどうしようか。私は当時携帯電話は使用していないため持っていない。降りしきる雨の中、滑(すべ)って転んで足の骨を折ったならばどうなるのだろうか、との不安もよぎった。

     しかも、この大都市でも、この道を下山しているのは私一人だけであった。実際、下に着くまで誰にも会わなかった。ソウルタワーへ来た人はケーブルカーか何かで上り下りしていたようである。

    ただ、下山しているとき、一か八かで、来た道とは違う道を下ってみることにした。すると、なんと、行きがけには全く分からなかった安重根記念碑が目に入ってきた。

 

  • ⑩19時24分
  • ピントが合わない。くらい。像がぬれている。しかもシャッタースピードを落とさねば、必要露出は確保できない。1/8秒でとり続けたが、ぶれの連続である。下記写真は1/10秒で撮り後で少し加工したものである。

 

 

  • ⑪19時23分から33分にかけて撮影。
    撮影前に、安重根記念碑に、傘を投げ捨て、帽子を取り、合掌。
    そして、撮影開始。

 

 

  • 写真は、「数学的計算の連続、芸術性、そして格闘技」である。この日はまさに、格闘技そのものであった。

 

  • ⑬ コンディションが悪い中、撮り方を考えに考えていた。どう撮ろうかと考えた挙げ句、フィルターをはずして、フィルターを雨で少し濡(ぬ)らしてみた。
     
    しかも、長時間の撮影は無理である。何故(なぜ)ならば、雨の中、傘もささずの撮影である。私がもってもカメラやレンズがどうなるか不安があった。カメラやレンズを濡(ぬ)らさないようにカメラマンベストにかくし、撮ると決めたならば、一気に出して撮るであった。

    それと何よりも暗い。ピントが大変合いづらく困った。

 

 

  •  何とか、決めねば、今度はストロボキャップ部分も濡(ぬ)らしてみた。まだ、完全に技法は確立していないが、私のオリジナル技法確立へのヒントにもなった写真である。なお、私の別のオリジナル技法の一つはソウルの旅3回目のソウルタワー撮影で一部披露予定でいる。

 

 

 

  • ⑮19時44分。
  • 帰路、被写体ぶれを無視して、思い切って、シャッタースピード1/20秒で撮影。撮影後にレタッチ救済を前提とした撮り方も、この頃思いついた技法である。

 

 

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  • ⑯20時5分。
     なお、安重根記念碑から、すぐ近くのホテルまでたどり着くのに苦労した。何度、道を尋ねただろうか。一切休憩をせずに、宿・南大門パレスホテルに着いたのは20時5分であった。安重根記念碑を後にしたのが19時35分頃のため、約30分かかった。私にすれば上出来であったが、本来は数分で行ける距離である。これは、何度も道を尋ねたおかげである。
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  •  この夜、韓国のテレビを見た。途中で、何度か、朴槿恵大統領が写っていた。そのとき、私は上半身は裸である。失礼か。それは正当な理由がある。服が全てびしょ濡(ぬ)れだったのである。下着も。ちなみに、日本からソウルへはカメラバック以外は小さいリュック一つできた。中には地図と靴下一足とタオル、懐中電灯、目覚まし時計、それにカロリーメイト程度しか入れていなかった。通常、大阪へ行くよりも、軽装備できた。だから、我が家から6キロの駅までは自転車で往復したくらいである。
     しかも、朴槿恵大統領がいつテレビに登場するのか、その時間は不明だからでもある。
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